傾き屋

とくにないです。

響け!ユーフォニアム3 第一話感想

※本記事は「響け!ユーフォニアム」原作小説最終章までのネタバレが含まれています。アニメのみ視聴されている方はご注意ください。

#イントロ

この作品が始まるのを待ち遠しいと思う一方で、これで終わってしまうなら3期なんてこなければいいという気持ちもあり、複雑な感情を抱えたまま迎えた4/7ですが、約5年の年月を経て再びテレビの中で動き出した面々を見ると感慨深いものがあります。

#プロローグ

校舎前での勧誘演奏シーン。
原作のプロローグでは、“先生”が北宇治に赴任して三年目のこととして書かれていました。
このシーン、小説だからよかったもののアニメという媒体でどうやって誤魔化す(?)のか楽しみにしていたんですが、わりと最近の流行曲(といっても七年前ですね)を流してみたり、まだ入部してないはずの青リボン部員が吹いているシーンを入れていたりと巧妙に隠して描かれていて面白かったです。

#黒江真由

全体的に丁寧に原作をなぞっている中、一点だけ重要な改変箇所があって驚きました。それはどこかと言うと、吹奏楽部の活動方針を決めるシーンです。『全国金賞を目指す』か『楽しい部活を求める』かを多数決の挙手で決める場面。北宇治は強豪校であり、わざわざ入部する面々は前者を選ばざるを得ないことを充分に認識しているはずで、あえて後者を選ぶ人間はいないと思われます。ただし黒江については、この後何度もオーディションを辞退したり、『楽しければいい』という意思を表明したりしています。
※オーディション辞退については、「その方が全体の調和がとれて結果的に高いパフォーマンスが発揮できる」という考えがあるのかもしれませんが、推測の域を出ません。

問題の挙手シーン、原作ではその直前に黒江の紹介シーンがあり、確かにその場に存在しているものの黒江本人の描写はなく、その後もこの場面に関する言及は一切出てきません。
作中後半になって久美子との対立(?)が進んでいくと、このとき黒江がどんな選択をしたのか一層興味深いものとなっていきます。もし挙手をしていたなら、自身を抑えてでも別の選択ができただろうし、久美子からその点を指摘されたら反論しづらいと思います。
なので、アニメこのシーンがどう描かれるのか、もしかしたらひっそりと一人だけ挙手してないところが映るのではないかと期待していました。
しかし、アニメではこの点が改変され、「意思決定時には黒江真由は存在しなかった」ことになりました。この改変によって黒江は今後の行動に対して責を追うことなく、ある意味自由に振る舞うことが許されることになります。それがどんな意味を持つのか、あるいは原作以上に踏み込んだ意思を見せてくれるのか、とても興味深いです。

 

#余談
改変と言えば、もう一点どうしても言っておきたいことがありまして、原作では『黒のハイソックスに包まれた脚』と書かれており表紙イラストでもおみあしが確認できるのですが、アニメでは(去年のキービジュアル時点でわかっていましたが)黒タイツなんですよね。これは多分、久美子と対になるラスボスとしての田中あすか成分を強調するためのデザインなんだと重々理解はしているのですが、それでもなんというか私は黒ハイソックスの黒江真由が見たかったのでこの点非常に残念です。