傾き屋

とくにないです。

「宇宙よりも遠い場所」11話感想(2)

日向の同期3人に啖呵を切った報瀬が、あのときどうして泣いていたのかをずっと考えていた。もちろん、日向を思って、素直に感情を出せない彼女の代わりに泣いたということもあっただでしょう。でも、それだけじゃないような気がしたので、もう少しだけ考えてみました。

 

カメラに向かって毅然とした態度で言葉を投げた報瀬は、「けど、日向はもう歩き出しているから」ということばを口に出せずに飲み込んだ。自分はまだ過去に囚われているから、『前に進んでいる』と言うのは嘘になる。誰もそんなことは分からないのに、自分に嘘をつけないバカ正直さは、彼女最大の魅力でもあります。

 

勢いだけで語り出し、そして口をつぐんでしまった報瀬を、すかさずキマリが援護しました。その言葉は直接的には日向に向けられたものだったけど、報瀬もまたその言葉に救われて、過去との訣別を決意したんじゃないかなあと思ったわけです。だとしたら、あの涙は、痛みを伴う訣別の証だったのかなと。

 ドラム缶は祝福の鐘。