傾き屋

とくにないです。

「宇宙よりも遠い場所」11話感想

これまで、日向は一貫してカメラの後に居た。

作中でも、OPでも、頑なに画面に映ることを避けていた。

その理由が在学中の人間関係にあることは幾度となく示唆されていたものの、残り3話まで引っ張るとは思っていなかった。

同年次の部員達に裏切られたことを許すことができずmまた直接怒りをぶつけることもできずにいた日向に、その二択のどちらでもない「迷いを抱えたまま生きていけ」と言い放つ報瀬のまぶしさ、最高に熱かったです。

『敵』に向けた最後のひとこと「ざけんなよ」は単なる怒りではなく『自分たちは全力で前に進んでいるんだぞ!』という自賛が見え隠れして、前々回の「ざまあみろ」という自己肯定より一歩進んでるように思えました。

 

■「許す」という行為

何か/誰かを許すということは、とても大きなエネルギーが要る行為です。

許すという行為は、「自分が抱えている不満、その原因を手放す」、「それを当人に伝える」の二つのプロセスが必要ですが、所謂いじめ問題では、前者を無視して後者を形だけ行うため、深い傷を残す例が後を絶ちません。

今回、報瀬が行った手段は、被害者である「許す側」の人間にとって、確かな救いとなったはずです。

あの啖呵は本当に綺麗だった。

普段は不器用で、自分の敵と認識した相手にしかまともに向き合えない人間が、自分のためではなく友人のために立ち上がる。こんなことをされたら、どれだけうれしいことか、それを考えると思い出すだけで感極まってしまう。

もちろん、考えようによっては独善的で、当人の気持ちを無視した行為であることは確かです。それは、直前の麻雀のシーンで視聴者に対して感覚的に予告を入れてフォローしてたことからも伺えます。結果的にOKだったので、ここではこれ以上は言いませんが。

サポートに回った二人も良かった。

この四人を見ていて気持ちがいいのは、誰かの抱える問題に直面したとき、毎回役割を変えながら全員で解決に向かう姿にあると思っています。

発進、加速、修正という三つの役割を、今回は報瀬、キマリ、結月が担当していました。特筆したいのは、前回まで「友達」とは何かを理解していなかった結月が、「これが友情ですよ!」って感覚的に理解しつつ、その言葉が、日向が思いを受け入れるための応援にもなっているという点。ホントに良いカルテットだなーと思ってしまいました。

 

最初に書いたとおり、これまでの日向にとってカメラの向こう側に姿を晒すことは、あるいは「宇宙より遠い」場所でした。

残り2話、彼女達四人が並んで映る姿が見られることを期待しています。

 

 3/18

もうちょっとだけ書きました。

katabuki.hateblo.jp