傾き屋

とくにないです。

ウテナのミュージカルを観てきた(ネタバレ感想)

musical-utena.com

 

 土曜日の夜回で観てきました。

最高でした。(メリークリスマス!)←同じ回見た人だけわかる

 

僕がウテナをはじめて観たのは二十代も半ばを過ぎてから、しかも人に言われてしぶしぶ……という非常に申し訳ない出会い方でした。

そのため、全然面白さが分からないまま最終話を迎え、どうして皆が心を振るわせているのかが分からなくて距離を置いてしまいました。

その後数年が経って、改めて自発的に鑑賞したとき、世界が変わりました。

抽象的な表現をあえて具体化せず受け取り側に委ねている部分が多いので、自分のアンテナが錆びていると何も受け取れないんだということが痛いほど分かりました。

何より、どこが良かったのかと問われて、「言葉にできないけど、それで良い」と自身を持って言えるくらい作品全体が宝物のように好きになってしまった、そんな体験をした初めての作品だったのです。

 

閑話休題

ミュージカルは、ウテナという作品が「演劇→アニメ」という再構築をしている作品だったこともあり、「演劇→アニメ→演劇」という再々構築をどのようにして行うのか、という点でも楽しみだったのですが、観た後はそんなこと考えられないくらい面白かった!という感想だけが出てきました。

2.5次元と言うより、もっとアニメ寄りの2.1次元といった感じです。

(ここから語彙力がなくなってきたのでご承知おきください。あとで書き直します)

キャストのことは全然知らなかったんですが、ほんと皆がアニメそのまんまかよ~ってくらいぴったしの声をしていて、不安がすべてふっとびました。

特筆すべきなのはウテナ、川上さんとは違う、でも形而上の新しいウテナを演じてくださっていて、とてもよかったです。

ミッキーが声変わりしてたのは気にするな!

 

■演出

1話の若葉ギャグパート、ウテナに飛びつくシーンそのまま舞台でやるの!?って驚いたり、影絵少女の再現度高すぎ~って思ってたら「お頭」パートもやるの!って興奮したり、同じ舞台でクロスするように二つのシーンを織り交ぜる手法格好良すぎかよ~って興奮したりとてもよかったです。

 

■樹璃さん

宝塚~~(観たことないのにすみません)

立ち振る舞いというか、動作のひとつひとつにキレがあって、舞台に上がられるとずっと目で追ってしまう眼福状態でした。なにより目を引いたのは、殺陣(剣劇)で剣先が全然ブレない!静止した状態でもビシッと決まって美しいお姿を堪能しまくりでした。

尺の都合上、ミッキー回と同時進行で(クロスするように展開される演出は格好良かったのですが)出番が少なくて残念でした。枝織さんも汎用生徒だったので、あくまで「生徒会編」の一幕として通り過ぎてしまったのですが、出番が少ない分だけ一際輝いておりました……。

 

七実

七実回完全再現!

限られた時間でアレやるの!と思ったら、七実の方の演技が上手いことこの上なく、一挙手一投足に魅了されておりました。上手すぎません?(役者さんのこと誰一人知らないので悪しからず……)お兄様とのアドリブでのコミカルさも微笑ましかったですし、カーテンコール(左端だったので一番近くで観られました!)のときの立ち振る舞い、「2.1次元」って感じでした。

 

■若葉

完璧なギャグシーン、狂言回し、からのウテナ再起のための迫真の演技……。完璧でした。冒頭でウテナに飛びついたシーン、「実写でこれやるの?こんなに勢いつけて大丈夫か!」って思った反面、ここですでに期待値が爆上げされてしまった気がします。その期待を裏切らず、コミカル・シリアスどちらも最高の演技で、彼女の演技が一番心に響きました。

決闘に敗れた失意のウテナを再起させる(=王子様という名で縛る呪い掛け)シーン、最高でした。

(あとで追記したい)

 

 

ウテナ

最初は、なんとも思わなかったんですが、展開が進んでくるにつれ、「ウテナじゃん……」と思えるようになってくるのが面白い。無自覚で傲慢な性格が、後半はより顕著に感じられて、これだよこれ……って思えてきたり、この舞台は彼女のためにあるんだなとぼんやり考えてしまったり、そんな不思議な魅力がありました。

 

 

■カーテンコール

若葉の人が出てきたとき、劇中では耐えてたのに彼女の笑顔を見たらうっかり涙ぐんでしまいました不覚!

しかしちょっと自由すぎるというか、3回も戻ってこられて話す内容も決まってなくてフリーダムすぎましたね。西園寺&冬芽のアドリブは毎回違うとのことなので、千秋楽でどうなるか楽しみです。

 

 

 

 

 

■西園寺先輩

再現率高!

あとアドリブ、個人的にはさめさめだったけど会場全体から笑い声が聞こえてきて自分だけ取り残された感じがありました。

あまりにアドリブすぎたのか、アンシーが台詞忘れるレベルでツボってたのが印象的でした(てきとう)

 

 さんざん笑ったあと、僕は彼のことを全然笑えないことに気付いて今たいへん心が痛いです。あの滑稽さも、周りの見えなさも、自分を俯瞰してみるとそれが返ってくる。