傾き屋

とくにないです。

「さよならの朝に約束の花をかざろう」ネタバレ感想

面白かった。



テーマは、「こんなに苦しいのなら悲しいのなら、愛などいらぬ!」「本当に?」でしたね。恋愛じゃなくて親子愛であるところまで含めて。

長寿ゆえに人間に情を持っても不幸になるだけ、という体で、別離を避けるために引き籠もる種族と、それを真っ向から否定するお話でした。

主人公マキアは「運良く」幸せな別れを経て、そ!がただ忌避すれきものではないということを示してくれましたが、そうでない例も作中では描かれてほしかったです。
だから、アンチテーゼとしてはちょっと弱くて、説得力に欠けるかなというのが第一印象です。もう少し深く踏み込んでほしかった(自分の読解力不足を棚に上げる発言)

テーマを絞るため、多くを語られることのなかった戦争・種族・世界観は、もう舞台装置に留まっているものとして割り切って観ていたけど、そのあたりに惹かれるところもあったので、消化不良に感じる人も多かったんじゃないかなと。
特に、中世でファンタジーでスチームパンクな都市とかヨダレ流すほど大好きな人達にとってはもっと描いてくれ!ってなるくらい見応えがあったので、個人的にはそこそこ満足感があります。

テーマと言えば、軸となる少女が二人もいたのに、二人とも恋愛じゃなくて親子愛に焦点を当てられていたのが意外でした。どちらか、あるいは両者とも恋愛の方面にいくんだろうな、という覚悟をしていたので、意外すぎて肩すかしをくらった気分です。
エリアルどうなるんだ!ってハラハラしながら見てたのに、酔って押し倒しても何もないんかい!って感じです。

あいつ、思春期の少年が「大好きな母が姉のようにな関係になりつつある中で、実は血がつながってないことに気付く」という環境でよく拗らせたりグレ
たりしなかったなと。あれくらいの反抗期で済んだのは母のおかげでしょう。
(※子育ての描写にリアリティを求めないように。そういうテーマの作品ではないでしょう(誰に向けて言っているんだ))


彼にとっては、寿命のせいでいつか自分が置いていくのは避けられない中で、自分が選んで置いていったというのは意味のあることだと思います。それは、彼が新しい居場所を見つけるために必要な儀式であって、残された方が辛いのは変わりないにせよ、マキアの幸せの礎になったであろうことは確かでしょう。


最後に、タイトルについて。
最初のシーンに出てきた青い花が何かの意味を持つのかなと思ったら、そんなことはなかった。でも他に象徴的に花が使われることもなかったし、あえて挙げるなら最後のタンポポくらいか、と考えると、むしろ「泣かない」と約束したことにかかって、タンポポと一緒に空に飛んでいった「涙」こそ約束の花なのかなと思えば綺麗に締まる気がするのでそういくことにして筆を置こうと思います。

以上、
パンフ完売で買えなかったので、的外れな考察してたらご容赦ください。



追伸
観た後に知ったんですが、キャラ原案がFFT吉田明彦さんということで、ほんともう横顔がFFTのキャラアイコンかよってくらい馴染んでいました。中世ファンタジーな世界観と相まって、イヴァリース感のある作品でした。